建築設備士 第二次試験の独学ガイド|試験の全体像と合格までの進め方

建築設備士の第二次試験(設計製図)を独学で目指す人に向けた、全体像と進め方のガイドです。「一次は受かったが、二次は何から手をつければいいか分からない」という人がつまずきやすい点を、順番に整理しました。

筆者は電験三種を保有し、過去に建築設備士の第二次試験を受験しました(結果は不合格、現在リベンジ中です)。だからこそ「何が難しいのか」「独学のどこで止まるのか」を、受験する側の目線で書けます。この記事はその経験をもとにした地図です。各分野の詳しい解き方は、別記事で順に掘り下げていきます。

目次

この記事でわかること

  • 第二次試験(設計製図)の出題構成(必須・選択・共通)
  • 独学でつまずきやすい3つのポイント
  • 一次合格後から本番までのロードマップ
  • 必須問題(記述)・選択問題・共通問題それぞれの対策の考え方
  • 働きながらでも続けられる暗記法(アクティブリコール・分散学習)

建築設備士 第二次試験とは|まず全体像をつかむ

建築設備士試験は、第一次試験(学科)第二次試験(設計製図)の2段階です。一次に合格した人だけが二次に進めます。二次は記述作図の試験で、一次のマークシートとは頭の使い方がまったく違います。ここが独学者にとって最初の壁です。

第二次試験は、大きく次の構成で出題されます。

区分内容形式だれが解くか
必須問題
(建築設備基本計画)
計画条件をもとに、空調・衛生・電気の観点で答える記述(数行の文章を複数)全員
選択問題
(建築設備基本設計製図)
空調・衛生・電気から1分野を選び、その分野の作図・計算作図+計算選んだ1分野
共通問題各設備の平面図など、選択分野に関係なく共通で問われる作図作図全員

ポイントは3つ。(1)必須は記述で全員が解く(2)選択は空調・衛生・電気から自分が戦う1分野を選ぶ(3)共通の作図もある。出題数や細かい区分は年度で見直されることがあるので、最新の出題区分・課題は必ず公式サイト(公益財団法人 建築技術教育普及センター)で確認してください。

独学でつまずく3つのポイント

① 記述は「知っている」だけでは書けない

必須問題は記述式です。内容を理解していても、本番で採点者に伝わる文章を、限られた行数で書けるかは別の力です。「分かっているのに手が止まる」「思い出せない」が起きやすい。対策は、読むのではなく自分の言葉で再現する練習(後述のアクティブリコール)です。

② 計算は途中式と単位で差がつく

電気を選ぶと計算問題が出ます。答えだけ合わせても、単位のそろえ方や途中式でつまずくと本番で時間を失います。電気計算は「手を動かして型で覚える」のが近道です。

③ 作図は時間との戦い

選択・共通の作図は、知識に加えて制限時間内に手を動かし切る練習が要ります。知っていても、描き切れなければ点になりません。普段から時間を計って描く習慣が効きます。

合格までのロードマップ|一次合格後〜本番

二次試験は例年夏(8月ごろ)に実施されます。一次合格から二次本番までの限られた期間で、優先順位をつけて進めるのが鉄則です。おすすめの順番は次のとおりです。

  1. 選択分野を決める(空調・衛生・電気のどれで戦うか)。早く決めるほど対策が深まる。
  2. 必須問題(記述)を固める。全員が解く=配点が安定。ここを最優先で。
  3. 選択分野の計算・作図に着手。電気なら計算の型、各分野とも作図の手順を体に入れる。
  4. 共通の作図を回す。時間を計って描き切る練習。
  5. 直前期は再現と維持。新しいことを増やさず、覚えたことを忘れない・速く出すフェーズへ。

「新しく覚える」のは前半に寄せ、後半は維持と作図・計算の仕上げに回す——これが限られた時間で間に合わせるコツです。

分野別の対策

必須問題(記述)|全員が解く最優先パート

必須は全員が解くため、ここの安定が合否を大きく左右します。対策の軸は「論点ごとに、採点で求められる要素を、自分の言葉で言えるようにする」こと。模範解答を眺めて満足せず、問題を見た瞬間に要点を口に出して再現できる状態を目指します。暗記カードのような一問一答形式で、繰り返し再現するのが効果的です。

選択問題|どの分野を選ぶか

空調・衛生・電気のどれを選ぶかは、自分の実務・得意分野・興味で決めて構いません。電気系の資格や実務がある人は電気設備が相性良いことが多いです。電気を選ぶ場合、計算問題(変圧器、電圧降下、力率など)が出るため、計算の型を作ることが得点源になります。

電気計算の具体的な解き方は、別途noteで「電気計算シリーズ」として、途中式と単位まで省略せずに解説しています(全日効率・電圧降下・力率改善・変圧器容量ほか)。手を動かして練習したい人はそちらも参考にしてください。

共通問題(作図)|描き切る練習を

共通の作図は、知識を図面に落とし込む練習が必要です。週に1〜2枚でいいので、やらない期間を作らないことが大切。間隔が空くと感覚が鈍ります。時間を計り、本番と同じ条件で描き切る経験を積みましょう。

働きながら続ける勉強法|アクティブリコールと分散学習

独学で一番難しいのは「続けること」です。学習科学的に効果が高く、忙しい社会人でも回しやすい方法を2つだけ紹介します。

  • アクティブリコール(能動的に思い出す):テキストを眺めるのではなく、問題を見て答えを自分で再現する。出てこなければ5〜15秒だけ粘り、すぐ答えを見て、隠してもう一度言う。「思い出そうとした」事実が記憶を作ります。
  • 分散学習(間隔をあけて復習):一気に詰め込まず、翌日 → 3日後 → 7日後 → 14日後と間隔をあけて再テストする。忘れかけた頃に思い出すと、記憶が長持ちします。

朝の頭が動く時間に「新しく覚える」、通勤や夜のスキマに「思い出すだけの軽い復習」——と役割を分けると、疲れている日でも挫折しにくくなります。

よくある質問

Q. 二次試験は独学で合格できますか?

A. 記述と作図という形式に慣れる工夫は要りますが、独学でも十分に狙えます。鍵は「読む」より「再現する」学習に切り替えることです。

Q. 選択は空調・衛生・電気のどれが有利ですか?

A. 一概に有利不利はありません。自分の実務や得意分野で選ぶのが結局いちばん点になります。電気系の素地がある人は電気が取り組みやすい傾向です。

Q. 過去問はどこで手に入りますか?

A. 過去の試験問題は、公益財団法人 建築技術教育普及センターの公式サイトで公表されています。まずは公式の問題で出題の形を確認するのがおすすめです。

まとめ|地図を持って、最短ルートで

  • 第二次試験は「必須(記述)+選択(作図・計算)+共通(作図)」の構成
  • 独学のつまずきは「記述の再現」「計算の型」「作図の時間」の3つ
  • 必須を最優先に固め、新規は前半・維持と仕上げは後半
  • 続けるコツは、アクティブリコールと分散学習

この記事は全体像の地図です。今後、必須問題の書き方、電気計算の解き方、作図の手順を、それぞれ詳しく掘り下げていきます。一緒に、最短ルートで合格を取りにいきましょう。

※本記事は受験経験にもとづく一般的な学習情報です。出題区分・日程・合格基準など、試験の正式な情報は必ず公益財団法人 建築技術教育普及センターの公式発表でご確認ください。

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